TOPメールマガジン Vol.066 祖父の歴史は長岡の歴史?/MSEのMについて

Vol.066 祖父の歴史は長岡の歴史?/MSEのMについて

DATE:2022.06.02
Category:メールマガジン

<本号の話題>
◆思いつくままに:祖父の歴史は長岡の歴史?
◆少し役に立つこと:MSEのMについて
  
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 コラム: 思いつくままに
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<祖父の歴史は長岡の歴史?>
 
今年、私の祖父が90歳の節目を迎えました。
おめでたい!!
祖父には卒寿のお祝いとしてプレゼントを渡しました。
これからも元気に長生きしてもらいたいものです。
 
祖父は生まれも育ちも長岡という生粋の長岡人!
と思っていましたが、長岡の歴史を調べてみると、
祖父の住む地域は1954年に長岡市と合併したとのこと。
ほとんど生粋と言っていいでしょう。
 
祖父が生まれた90年前の長岡では、
在来線の上越線(長岡―高崎間)が開通しました。
その後、新幹線や高速道路といった交通機関が開通しており、
祖父はこういった近年の長岡の歴史を全て見てきているのだなと、
そして長岡の歴史を支えている1人なのだなと思うと、
祖父は身近にいる偉大な人だとあらためて実感しました。
 
私自身も生まれも育ちも長岡で、
パルメソと出会ってようやく1年が経ちました。
パルメソができて約10年、MSE試験法ができて約20年、
会社としても材料試験法としても長寿となれるように、
微力ながら貢献していきたいと思います。
 
ちなみに、我が家のアイドル猫の花ちゃんはもうすぐ2歳。
猫の寿命は12~18歳といわれているので、
あと十年以上、祖父が100歳を迎えるまで
長生きしてもらいたいものです。
 
>>キャットファーザー 監物
 
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 コラム:少し役に立つこと
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<MSEのMについて>
 
こんにちは勝俣です。
前回まででMSEのEとSについてお話ししました。
(ブログメルマガ過去記事)
MSEの “E” について https://palmeso.co.jp/1145/
MSEのSについて https://palmeso.co.jp/1436/
 
今回はMSEのM、『Micro』についてです。
『Micro』は“微小な”という意味の接頭語で、
単位につければ1/1,000,000(×10-6)となります。
10-6メートルオーダーの微小な粒子による
MSE試験の特徴と効果について解説します。
(HPにも載っていますので合わせてご覧ください)
MSE試験 技術解説 https://palmeso.co.jp/mse/td/
 
本題に入る前に、MSE試験は強さを測る方法ですが、
その強さを測ることに関しての背景にふれておきましょう。
 
皆様のお仕事の中で、
製品或いは材料の強度や耐久性評価は避けて通れない項目と思います。
この時強さを測るためには何かしらの破壊試験を行う必要がある、
ということは以前お伝えしました。
(ブログメルマガ過去記事)
強さとモノや材料の豆知識 https://palmeso.co.jp/1114/
 
この結果、巨視的【マクロ】な良否はわかったとしても、
その良否の原因を特定しようと思った場合には、
製品のサイズ(例えば膜の厚みなど)よりも十分に微視的【マイクロ】に
かつ網羅的に分析する必要があります。
皆様が取り扱う製品のサイズに対して、十分に微視的【マイクロ】に
強度の評価ができる手法というのは多くありません。
より『小さく』、『薄く』、『軽く』、しかし『強く』を求められるなかで、
どうやって評価するかという課題をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
 
ここからが今日の本題です。
MSE の M の特徴とどんな効果があるかを改めて列記してみます。
 
➀分解能 ~1個の粒子が起こすエロージョン~
1マイクロメートルの粒子が衝突して削り取る大きさ(損傷量)は
ナノメートル~数十ナノメートルのオーダーです。
つまり試験分解能はこのナノメートル単位で材料特性を分離できていることになります。
そもそも、このようなオーダーで材料を評価する試験方法は多くはありませんので、
MSEは原理的にはかなり微視的な破壊試験と言えます。
しかし、1個の粒子の衝突は制御が難しく損傷量を計測することも困難です。
 
②統計処理 ~ちりも積もれば‥‥‥~
そこで、
MSE試験では粒子の投射量を重量g単位で制御し、
投射面積1×1mm2の範囲に均等に投射を行います。
すると、1回の投射での何十億個もの粒子衝突による損傷量の総和として
測定可能な摩耗痕ができます。ここがポイントです。
何十億個もの粒子衝突の統計処理でできる痕の形状は
再現性が良く、同じ材料であれば繰返し同じ結果が得られます。
また、安定した加工性能ゆえに、
その範囲内にある材料強さの分布(バラつき)は
マイクロメートル単位の凹凸として浮き彫りになります。
 
ちなみに、一回の投射での粒子投射量は可変できるので、
数ナノメートルから数マイクロメートルまで希望の分解能に調整可能です。
 
➂粒子衝突エロージョンと深さ計測の繰返し方法のメリット
精密な除去と測定を繰り返し、深くまで多点計測することは
材料の表層や下地の影響を受けずに深さ毎の強度特性を
ナノ・マイクロ単位で正確に測るメリットになります。
XPSやTOF-SIMSといった化学分析の分野でも、
エッチングをしながら元素やそれらの結合状態を分析する
デプスプロファイルという方法がありますが、
これに近い分解能で材料の“強さ”の情報が得られます。
しかも、深さは直接計測のため
表面・界面近傍或いは内部にある欠陥や変質・劣化の情報も、
その場所と程度を特定できることになります。
 
これは、
『化学分析のデプスプロファイル』 と『 表面から連続した強さ分布データ』
を比較評価できるという意味にもなります。
また、試験深さは通常100μm程度まで可能ですので、
様々な分野で表面から深さ方向の強さ情報を網羅することができるのです。
 
MSEのMが小さな粒子を使うゆえに、
製品サイズよりも十分に【マイクロ】な材料評価ができることは
お判りいただけたと思います。
他にも【マイクロ】のメリットはたくさんありますが、
それはまた次の機会に。
 
>>シグノライトブルー_勝俣