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硬質薄膜の強さと基材の影響を2条件試験で調査

キーワード:DLC・TiCN・超硬・2条件試験・MSEマップ

目的

4種類の硬質被膜を対象に評価条件の異なる2つの試験から、膜及び基材の特性を評価する。

試験条件

2条件試験(硬さ系と靭性系:多角と球形粒子)で全層分布を取得

サンプル情報

 

試験結果

各被膜の2条件試験でのエロージョン率分布を示す。

 

多角試験のエロージョン率分布グラフ(硬さ系)

球形試験のエロージョン率分布グラフ(靭性系)

・多角試験(硬さ系)は深さ分解能が精密で膜内強さ分布が明確で膜厚もほぼ実態と同じを示している。

・球形試験(靭性系)は基材の影響を受けどの膜も薄く示されている。特にDLC2は膜強さが見えない。

・基材の超硬は球形試験で弱くて「硬くて脆い」性質が2条件試験により浮き彫りにされている。

・DLC1と2の基材界面には極端に弱い層がある。

MSEマップによる評価

上記2条件によるエロージョン率分布の被膜部と基材部を平均化してMSEマップを作成した。

なお、横軸と縦軸はエロージョン率の逆数を取りMSE抵抗値で示した。

 

 

膜及び基材の強さは横軸と縦軸の交点内の面積でランキングしてみるとDLC_ION>TiCN2>DLC_PCVD>TiCN1>基材超硬になる。

 

注意:球形試験(靭性系)では膜厚が薄いため、耐久性は膜厚を考慮する必要がある。特にDLC2は膜厚が無いと同じになっている。

まとめ

MSE試験では硬さ系と靭性系の強さが測れるのみでなく、基材の影響を受けた膜厚の変化も確認できる。

特に大きな応力を受ける球形試験(靭性系)の情報は実環境での使用を想定した強さに役立つ。