Vol.083 ガンプラの面白い表現”レジンアート”/引張試験は材料の何を測っているか
<本号の話題>
◆思いつくままに:ガンプラの面白い表現“レジンアート”
◆少し役に立つこと:引張試験は材料の何を測っているか
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コラム: 思いつくままに
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<ガンプラの面白い表現”レジンアート”>
私がここ数年でトップクラスに面白いと感じたガンプラを一つ紹介します。
それは、“レジンアート”という技法を用い作成された、
ウイングガンダムゼロEW(Ver. ka)です。
製作者は“ぷらばん”さん。(Youtubeで活躍)
こちらの作品のテーマは、劇中でウイングガンダムゼロEWが水中に墜落、
海底から再浮上する描写の再現で、
水を模した大きな氷の板のようなレジンの中央に
ガンダムが浮かび上がってくるかのようにデザインされています。
完成品のレジンアートにフォーカスした感想は、
樹脂の透明感が水中にいると錯覚させ、
細かな気泡が今にも動き出しそうな躍動感を伝えてきます。
まさに、命を吹き込み、細部までこだわり抜いた、心を揺さぶる“アート”。
実はガンプラ業界でレジンアートは、従来にない手法らしく?
立体的かつジオラマ風に表現できるのではないかという挑戦でした。
私もこのレジンアートを使って試してみたいアイデアが浮かびました。
それは、フェニックスがモチーフになっているフェネクス ガンダムを
信濃川で打ち上げられる長岡花火を舞台に飾ったらテーマとしてエモい?
長岡花火には「フェニックス」というタイトルの名物ワイド花火があるので
テーマ的にピッタリ一致するのでは?
という考え。(浅はかな案だと笑ってください。)
製作可能だと考えていますが、エポキシ樹脂を数L使うと考えると
費用がばかにならないし色々と課題はありそうです。
それでも!
コツコツお金を貯めて、チャレンジしたいなと考えている今日この頃。
>>トランザム加藤
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コラム:少し役に立つこと
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<引張試験は材料の何を測っているか>
引張試験は古くから使われていて今でも材料機械的特性試験の
1番手の試験方法です。この引張試験で得られる有用な情報は、
一部を除くと意外と知られていません。
試験から得られる情報は1次データとして
応力(stress)-ひずみ(strain)曲線で通称S-S曲線と呼ばれています。
この曲線から弾性率(ヤング率)(応力に対してのひずみにくさ)と
降伏点(材料が永久伸びを始める最大応力)
そして破断応力(まさに破断時の最大応力)がわかります。
また、曲線で囲まれた面積は破断まで使われたエネルギー量を示しています。
試験のポイントは試験片(ダンベル)の断面に均一に荷重をかけて
伸びを測ることにあります。
具体的な例をいくつか挙げると、
合金材料の熱処理では降伏点が上昇し破断ひずみは減少する傾向を示し、
これを硬くかつ脆くなるといいます。しかし、ヤング率は変わりません。
このことから、硬くなるとは降伏点が高くなることで
ヤング率の上限が上がり永久変形量が少なくなることを示し、
脆くなるとはひずみすなわち伸びが少なくなることを示しているといえ
S-S曲線でわかります。
樹脂の環境劣化では劣化初期にヤング率や降伏点は変わらず
ひずみのみが劣化度合いに応じて小さくなり、
劣化の臨界点を超えると降伏点が低下してきます。
樹脂の表面劣化により表面部の強度低下と内部の未劣化強さの比率を
示していて、S-S曲線でわかります。
このような熱処理や劣化による変化をMSE試験は
S-S曲線の面積変化と同様に敏感にとらえます。
例えば表面熱処理では1μmピッチ深さ毎のS-S曲線の面積を
深さ方向に連続で取得して変化する曲線が得られます。
劣化でも同様に深さ毎のS-S曲線の面積を
深さ方向に連続で取得して変化する曲線が得られます。
よって引張試験のS-S曲線面積と同等な強さ分布を
MSE試験は詳細なピッチで可視化しています。
参考に試験結果を参照ください。
○鉄鋼材料の窒化処理工法違いの断面強さ分布調査
https://palmeso.co.jp/mse/2040/
○自動車ボディ塗装の加速劣化試験変化
https://palmeso.co.jp/mse/2482/
○樹脂表面改質層の強さ分布
https://palmeso.co.jp/mse/1918/
>>とりあえず親方 松原亨