Vol.084 燕の巣を観て思うこと/水溶性塗膜の評価 ~課題解決シリーズその1~
<本号の話題>
◆思いつくままに:燕の巣を観て思うこと
◆少し役に立つこと:水溶性塗膜の評価 ~課題解決シリーズその1~
============================================
コラム: 思いつくままに
============================================
<燕の巣を観て思うこと>
今年、燕が我が家の玄関に巣をつくりました。
ポーチライトの三角錐の傘の上に直径12センチ、高さ6センチ程の
大きさの巣です。
巣の底はポーチライトの傘の上なので三角錐の斜め状態ですが、
巣の壁面は地面と垂直に上手に積み上げられています。
心配なのは巣の底が斜めなので
生まれてくる赤ちゃんにとっての居心地は良くなさそうなことと、
傘の中心側の壁面が低いところから落ちてしまわないかなということ。
巣には草と土が使われているようですが、
その中に樹脂の黄色い紐が混じっていました。
草と間違えたというか、草も樹脂の紐も燕にとっては巣作りに使える
材料と言うことなのでしょうね。
見ている人間の方が違和感を抱いてなんとなく申し訳ない気持ちになります。
個人的にもリデュース、リユース、リサイクルの取組みに
少しでも努力しなければとあらためて思いました。
MSE受託試験サービスでも環境にやさしい材料への切替、
プロセスの低エネルギー化、リサイクル材料使用に向けてのテーマが
増えています。
燕へのお詫びの気持ちも込めてお役に立てるようにがんばります!
>>パルメソの炭治郎 石附尚
============================================
コラム:少し役に立つこと
============================================
<水溶性塗膜の評価 ~課題解決シリーズその1~>
皆様の抱えている課題解決にMSE試験利用効果の参考になればと
~課題解決シリーズ~と題して具体的事例を題材に紹介していきます。
今回はその1回目です。
「具体的事例 / 塗料のバインダー違いによる塗膜強さの比較評価」
環境負荷を減らすために塗料のバインダーを油性から水性に変えるにあたり、
両者の断面強度変化、基材密着性、気泡分布を数値データで知りたいが、
塗膜の強さ特に深さ方向の特性を測る方法が無くて困っているとの
相談をお客様から受けました。
そこでMSE試験では塗膜の少しマクロな構造的な強さを評価できる
球形粒子(球形シリカ5μm)を使って表面から基材まで約160μmの
詳細な強さ分布の比較試験を行いました。
結果、油性バインダーの塗膜は自動車などの塗膜よりは弱いが
表面から基材までおよそ均一な強さ分布を示し、
3回の測定において膜厚も均一であるのに対して、
水性バインダーの塗膜は油性より格段に弱く、
面方向の強さバラつきが大きく、膜厚も安定していないことがわかりました。
結果より既存の油性バインダーは強くて均一な品質であること、
開発中の水性バインダーはまだ油性に強さと均一さでは
かなわないことが確認されました。
お客様からは、製品の品質保証的には鉛筆試験で表面の強さで確認するが、
開発では表面だけでなく内部までの強さ評価が必要で、
こんな方法があるのかと喜んで頂きました。
水性の開発は始まったばかりで、
塗膜の機能と生産性を考慮しながら塗膜の断面強度の確認に
使っていきたいとのお声を頂きました。
その他塗膜の参考事例
○金属上の塗装の密着度合いの評価
https://palmeso.co.jp/mse/2529/
○自動車ボディ塗装の加速劣化試験変化
https://palmeso.co.jp/mse/2482/
○自動車塗装 プロセス違いの検証
https://palmeso.co.jp/mse/1885/
本シリーズの次回テーマは
「金属基材上の樹脂塗膜の密着性の評価」です、お楽しみに。
>>パルメソの小野田坂道こと田村敏則