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Vol.056 ネズミ捕りに捕まった猫/塗膜劣化の化学的変化と強さ変化は違う?

DATE:2021.12.02
Category:メールマガジン

<本号の話題>
◆思いつくままに:ネズミ捕りに捕まった猫
◆少し役に立つこと:塗膜劣化の化学的変化と強さ変化は違う?
  
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 コラム: 思いつくままに
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<ネズミ捕りに捕まった猫>
 
里山の保全、生物多様性や自然保護に興味があり、講演会、
自然観察会への参加や、書籍などで勉強をするようになりました。
 
その中で、中山間地の過疎や高齢化で里山を管理できなくなり荒廃したり、
また狩猟者人口も減少・高齢化が進んでおり、その結果、
ツキノワグマやイノシシなどの野生鳥獣が民家近くまで出てきて、
農作物や住民への被害が増えてきている話を多く聞きました。
 
そのような状況なため、野生鳥獣や狩猟の実情をさらに知りたくなり、
勉強を兼ねて、狩猟試験を受けてみようと考え、
新潟県で実施している狩猟免許取得希望者講習会と、
その後に狩猟免許試験を受けることにしました。
 
講習会は、県民を対象に年に10回前後、無料で開催されており
(テキストも無料)、鳥獣の保護管理、鳥獣や猟具に関する知識の座学と
猟具の使い方の実技を学ぶことができます。
実技では、模擬銃での銃器の取扱いやわなの架設を実際に行い、
その後、第一種猟銃、網猟、なわ猟の試験を受け、それぞれに合格し、
狩猟免許を得ることができました。
 
今のところ、実際に狩猟を行うことに踏み出せていませんが、
狩猟免許の取得の勉強で役立ったことがあります。
 
数年前、家の庭に来ていた野良猫を保護し、家族の一員になりました。
その猫を年に1度のワクチン接種で動物病院に連れていったのですが、
病院の駐車場でちょっとした隙にキャリーバッグから逃げてしまい、
車の下や空地などを逃げ回るところを捕まえようとするのですが、
猫も必死で、近くの作業小屋に入って隠れてしまいました。
 
病院のスタッフからのアドバイスで、病院の大きなかごを借り、
大好きなおやつで誘き出そうとしたのですが、うまくいきません。
2~3時間経って、もう捕獲は無理かとあきらめかけたときに
再度アドバイスをもらい、長岡市内にある新潟県の動物愛護センターから、
ネズミ捕りを大きくしたような保護用ケージを借りてきて、設置しました。
 
設置後まもなく、ギャッシャという音がし、猫が入ったことが確認でき、
大急ぎでケージに入れたまま、家に連れ帰りました。
 
保護用ケージの仕掛けは、狩猟で使うわなと同じような構造で、
正しい架設の方法は、講習会や試験での経験を活かすことができ、
何か勉強しておくと、いつか役に立つことがあると強く思いました。
なお、2回目の保護となった猫は、私の癒しになってくれています。
 
>>なぎら健壱似の中澤
 
 
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 コラム:少し役に立つこと
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<塗膜劣化の化学的変化と強さ変化は違う?>
 
塗膜においても環境対応を求められている中で、環境対応材料
への切替や工法、プロセス条件の見直しと注力されていて、
あらためて基礎的な評価を高速にする必要があると聞いています。
そこでMSE試験の精密な強さデータが少しでもお役に立つことが
できればとがんばりました。
 
〇お問合せ内容
「塗装の劣化による精密な強さ変化を把握できないかと思っています。
現状、プルオフ法などの剥離評価で劣化後の塗膜を測定すると
中塗り層から下塗り層にかけてで剥がれていますが、
どこがどのくらい弱く変化しているのかわかっていません。
また、酸化劣化度の変化は劣化の初期に急激に変化してピークに達し、
その後緩やかに変化し続けるのに対して、剥離するものは酸化劣化の
ピーク付近ではなく、ピークを過ぎて少し経ったものが剥がれます。
MSE試験で深さ方向の精密な強さ分布の変化が測れれば、
複数の試験結果とあわせることで劣化のメカニズムを紐解いて、
長寿命化と環境にやさしい工法を求めていけると期待しています。」
と依頼を受けました。
 
〇試験目的
今回のサンプルは耐候性試験時間違い4種類。
(未劣化、短時間、中程度、長時間)
深さ方向の強さ分布から、各層と各界面部の劣化による強さ変化を可視化する。
 
〇試験条件
上塗り層表面から深さ80µm程度までを、
深さ測定ピッチ約0.8µmずつ詳細な強さ分布を測りました。
 
〇試験結果
・中塗り層は下塗り層よりも弱い。
また中塗り層の強さは一様ではなく表面から徐々に強くなり
下塗り層強さにつながっている。下塗り層内の強さは均一。
・劣化で弱くなるのは下塗り層の表面近くであり、
劣化が進むにつれて下塗り層の途中まで進んでいるとわかった。
短時間では未劣化の強さ分布の形状を保ちつつ少し弱くなる。
中程度では強さ分布が大きく変化して界面部に中塗り層よりも明らかに
弱いピークが現れる。
長時間では弱いピークが一気に拡大して弱い厚さも広がっていた。
 
「興味深いのは、酸化劣化度の変化は初期に急激に変化してピークとなり、
その後緩やかに変化し続けるのに対して、強さ変化は初期は少し弱くなり、
ある時間から界面部がどんどん弱くなることがわかったことです。
どこがどの程度弱くなっていくのかが詳細に可視化できました。
更に様々な水準のデータを取ってデータアップしたいと思います。」
と喜んでいただきました。
 
これからも、様々な環境対応取り組みのお役に立てるようがんばります!
 
【参考になる試験事例】
自動車塗装 プロセス違いの比較評価
https://palmeso.co.jp/mse/1514/
PBT樹脂の劣化変化と強さ変化の評価②
https://palmeso.co.jp/mse/1505/
有機コーティングの配合比と強さの関係調査
https://palmeso.co.jp/mse/1511/
 
>>パルメソの炭治郎 石附 尚