TOPメールマガジン Vol.009 圧倒的な差は、/材料はわからないことだらけだ

Vol.009 圧倒的な差は、/材料はわからないことだらけだ

DATE:2020.07.09
Category:メールマガジン

本号の話題

◆思いつくままに:圧倒的な差は、小さい差の積み重ね?
◆少し役に立つこと:材料はわからないことだらけだ

思いつくままに:圧倒的な差は、小さい差の積み重ね?

先日、ゼッケンプレートを付けた泥だらけのオフロードバイクが走っているのを見かけました。

「そう言えばバイクに乗っていた頃は楽しい上に、いろんなことを学んだなぁ~」と思い出しました。
そこで、その頃の「目からウロコ体験」を紹介したいと思います。

もう遠い昔1986年の夏、妙高高原 赤倉12時間エンデューロレースに参加しました。
朝7時スタート、夜7時ゴール。
有名選手から私のような草レースを楽しんでいるレベルまで100台以上は参加していたと思います。

1周20分くらい掛かったかな。
山を切り開いた切株が残っている所や泥沼でぬかるんでいる所、
長い林道、少しだけ舗装道路などバラエティーに富むとても面白いコースでした。

当然、有名選手には何回も何回も抜かれました。
背後に迫ってくる気配を感じる間もなく、もの凄い勢いで抜き去っていきます。
あまりの圧倒的な差に、抜かれて悔しいという感情は皆無。

今度は抜かれたらできる限り付いていってみようと思いチャレンジ。
そこで私にとっては目からウロコの速さの秘密を目の当たりにすることができました。

【ぬかるみはジグザグコースを通る】

ぬかるみの何本もの深いワダチ(バイクのタイヤの幅程の溝)にはまっている選手を縫うように
ジグザグにコース取りすることで、ワダチの凸部の連続を走って軽々と去っていきました。お見事!

【林道は中央の草の上を走る】

なぜそこを走る?と思いやってみると、凸凹が少なく草がある分フカフカしていて、
バイクにも体にもやさしく走れてパワーを温存できる。
これかぁ!

圧倒的な差は、このような小さい差の積み重ねなのだと学びました。
(センス、体力、運、お金・・・は別として)

仕事ではMSE試験で、μmとかnmとか、めちゃくちゃ小さい単位で材料の強さの差を扱っています。
この小さな差が圧倒的に素晴らしい材料の開発に役立つと嬉しいです。

MSEで材料との新しいコミュニケーションが始まります!
材料は何かを伝えたがっている
詳しくは、下記ホームページをご覧ください。
https://palmeso.co.jp/mse/

>>パルメソの炭治郎 石附 尚

少し役に立つこと:材料はわからないことだらけだ

固体材料の種類は大きな分類としてセラミックス、金属、樹脂、ゴムがあります。
各分類の中の個別種類は、何万何十万と数えきれないほど多いです。
それぞれが目的に合わせて使われており、それもまたすごい話です。
この多くの種類は、元素周期表の元素の組み合わせで成り立っていることもすごい話です。

Wikipedia 周期表
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%91%A8%E6%9C%9F%E8%A1%A8

単一元素の純粋を目指した単結晶(日本酒みたい)、複合化を目指した化合物や合金(ワインみたい)、
そしてその連鎖(有機系:樹脂やゴム)で成り立つものがあります。
種類が多くなるはずですね。

それら材料は、様々なところで目的に合わせて使われています。
その目的の一つに、強さがあります。
強さは、構造物の大きさや寿命などに密接に影響する指標となっています。
その強さがまた曲者です。

単一元素の単結晶材や純金属などは、材料と強さが素直に一致していて材料名が判ると強さが想定できます。

しかし、一般的に使われている実用材料は合金であったり、化合物が含まれたり、
内部に欠陥や不純物(異物)があったりと均一ではなく混ざりあった材料(複合材ともいう)でできています。

そのような材料は、同じ材料であっても、作る過程によって異なる強さ性質を持っていて、
一概に強さが特定できないことがままあります。

例えば、
日本刀などは、刀剣師により美しさだけでなく、強度や切れ味が変わってしまうことが知られていますね。
材料に厄介な性格があることを前提に十分に注意して作られている理由はここにあります。

なぜ強度が変わるのか、なぜ強度をコントロールできるのか不思議な能力ですね。

強さには、様々な指標があります。
身近なところでは、摩耗に強い、引張に強い、圧縮に強い、曲げに強い、衝撃に強いなどがピンとくる指標です。

例えば、
材料には強さを示す言葉に「硬くて、脆い」など、反対言葉で示されることがままあります。

「摩耗や曲げに強く、衝撃に弱い」材料であるということは、
材料は強さに異なる2面性または多面性があることを示しています。
そのため材料は、用途に合わせ、多面性を吟味して選択されています。

実は、あまり知られていませんがこれらの強さは、経年で徐々に変化(劣化ともいう)し
寿命に至ることや使用環境温度によってはドラスチックに変わってくること、
また、外部からの力の大きさで、同じ材料でも「硬くて、脆い」の指標が大きく変わってしまうこと、
などが専門家の間では分かっています。

興味ある方は一度下記のホームページを覗いて見てください。
https://palmeso.co.jp/mse/
~お役に立ちますように~

さて、タイトルの「材料はわからないことだらけだ」の具体的な部分は今後もお伝えしていきます。
徒然なるままに。

>>とりあえず親方 松原 亨 でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

メールマガジン購読希望の方は下記からご連絡をお願いいたします。
メルマガ登録はこちら