TOPメールマガジン Vol.068 ベトナム風スーパーマーケット/薄膜の強さは下地で決まる

Vol.068 ベトナム風スーパーマーケット/薄膜の強さは下地で決まる

DATE:2022.07.15
Category:メールマガジン

<本号の話題>
◆思いつくままに:ベトナム風スーパーマーケット
◆少し役に立つこと:薄膜の強さは下地で決まる
  
============================================
 コラム: 思いつくままに
============================================
<ベトナム風スーパーマーケット>
 
最近長岡駅の近くにベトナム風のスーパーマーケットができました。
東南アジアの料理に欠かせない調味料とか、野菜や魚・肉など売っています。
いままでネット注文でしか買えなかった物がすぐ近くで手に入れられます。
 
はじめて行ったときのできごとについてちょっと話します。
私の母国でも使うレモングラスというハーブを買いに行ったのですが、
まだオープン準備中なのか、店内の床には物がたくさんで、二人の店員が棚卸をやっていました。
店自体はすごく明るい雰囲気で、いつもいく近所のスーパーと同じぐらいで、びっくりしました。
「ちゃんとやっていますね」と思いました。
ただ、一つだけ問題があって、商品に添付している言葉が
ほとんどベトナム語となっていました。(笑)
 
買いたかったレモングラスは形で分かるのですぐに見つかりました。
ところで、肉系の冷凍庫のところをチラッと見てみると、
なんと蛇やカエルの足なども売っています。
母国で蛇やカエルなどを食べる習慣がないので、またまたびっくりしました。
ちゃんと冷凍パックされていて、普通のスーパーの肉のように並んでいました。
全部は見ていないですが、ベトナムで食べられているほとんどの物が
この店に売っているのだと思います。食品を選ぶ幅が広がっているのを感じます。
 
長岡市に10年以上住んでいますが、
はじめてちゃんとした外国風のスーパーができてうれしいです。
東南アジアの料理や食材などいろんなものが手に入るので
将来はこんな風な店やスーパーが普及してほしいと思っています。
 
>>お腹が大きい外国人イズ
 
 
============================================
 コラム:少し役に立つこと
============================================
<薄膜の強さは下地で決まる>
 
薄膜をコーティングする目的は機能の発現とトライボロジー性能
(摩擦摩耗や耐久性)の向上に分けられます。
機能性の向上は密着性や機械的特性に関しては程々の要求度合いとされ、
本稿ではトライボロジー特性の向上が要求される分野で機械的特性に
関するものに絞り少し知見をお知らせします。
 
薄膜は数ナノメートルから数百μmと厚さの幅は広く、
また多層膜や傾斜膜及び複合膜と多彩な形態で利用されています。
例えば、ナノメートル膜ではハードディスク表面やレンズ表面など、
多層膜では金型や切削チップ及びピストンリングなど、
厚膜(薄膜中の)では溶射等によるロール表面や発電所の機器及びロケットなどがあります。
材質では無機系が多く、CrN、Al2O3、TiN、TiCN、AlCrN、DLC、
ダイヤコート等々多岐に渡り開発途上にあります。
 
薄膜の強度は膜単体の強度と基材が影響した総合強度の2種類になります。
薄膜単体の強度のみを考慮してよい場合は表面に加わる負荷が低荷重また低応力の場合に限られます。
薄膜が硬質膜の場合には膜単体は硬くて脆い部類になり、
基材に薄膜を通して荷重が加わると基材がたわみ、
薄膜にクラックや界面剥離が発生し又は繰り返し疲労の耐性を低下させ膜自体が弱くなる現象が起きます。
軽い摩擦摩耗の場合は超薄膜でも膜自体の耐摩耗性は発揮できますが、
強い応力が加わる場合は基材の影響をもろに受け膜自体の強度が低下し
耐摩性性能を極端に低下させる現象が起きます。
 
よく、軟らかい材料や表面粗さが大きい材料にDLCなどをコーティングし、
耐摩耗性向上を期待したにも関わらず効果がなかったなどの声を聴きますが、
ほとんどが上記のような基材の影響又は密着界面の影響が犯人の場合が多いです。
きちっと管理した基材表面にコーティングすると大きな効果が得られます。
コーティング膜は概して硬くて脆い部類になり、
曲げや局所変形に追随できずに破壊が始まります。
曲げや局所変形は、膜の可撓性や膜厚及び外部からの応力そして基材の可撓性が関係しています。
外部からの応力が大きい場所での使用は膜厚を十分確保することが肝要です。
膜厚を薄くしたい場合は基材のヤング率(硬さはヤング率が低くても永久変形しなければ硬いとなるが変形量は大きくなる可能性有)を
十分に大きくし、外部応力で変形しない下地が肝要になります。
 
耐摩性を目的に使われる材質は本来かなり強い膜ですが、
私どもがMSE試験で測ってみると下地又は界面部が弱く、
本来の材質機能が発揮されていないものがあります。
MSE試験での2条件試験で表面から深部までを比較すると、
単層膜や多層膜であろうとその強度分布が明確に見えて、
強度の位置付けや膜厚及び膜強度の評価や設計情報が得られます。
膜本来の強度が使えるモノづくりに貢献できることを期待します。
 
MSE試験の技術解説
https://palmeso.co.jp/mse/td/
硬質薄膜の強さと基材の影響を2条件試験で調査
https://palmeso.co.jp/mse/1983/
 
>>とりあえず親方 松原亨