TOPメールマガジン Vol.053 きんぴらとMSEの未来/樹脂劣化と寿命算定 -精密な強さ分布が解決する世界 その4-

Vol.053 きんぴらとMSEの未来/樹脂劣化と寿命算定 -精密な強さ分布が解決する世界 その4-

DATE:2021.10.14
Category:メールマガジン

<本号の話題>
◆思いつくままに:
◆少し役に立つこと:樹脂劣化と寿命算定 -精密な強さ分布が解決する世界 その4-
  
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 コラム: 思いつくままに
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<きんぴらとMSEの未来>
 
最近、きんぴらを作るのにハマっています。
ネット検索したレシピで、オーソドックスなきんぴらごぼうを
作ったら思いの外上手くでき、気を良くして割とよく作っています。
(一度作ったらしばらく食べれるし)。
良く作るのは、ゴボウ、人参に+αで気分で具材を1つ選んだもの。
(+α枠は、コンニャク、竹輪、カマボコ等)
 
きんぴらの良いところは、ごま油で炒め、醤油とみりんで味付け
してあげれば何の具材でも割ときんぴらになってくれるという
簡便な点だと思っています。
人参が売り切れの時はパプリカの長い奴(パレルモ、赤)で代用
しましたが、根菜ですら無いにも関わらずそれっぽく仕上がりました。
ちなみに、きんぴら作りで一番面倒臭い点である具材の細切りは
市販のきんぴらピーラーで華麗に回避(皮むき感覚で楽に細切りできる)。
 
そして、安く作れる点。
各100円の材料で出来てしまう。
洗いごぼう、洗ってあっても100円。
鷹の爪、煎りごま、十数回分の量でも100円。
(これらの生産者の方ちゃんと儲かっているのかな?と変な心配をしてしまう)
 
安価で簡便に作れることで、ものぐさの私でもこの新習慣を
それなりに継続出来ています。
思えば、何かを普及させる際に①低コスト、②簡単 という
2つのキーワードは不可避のテーマ。
普及の先には発展があり、MSEの未来を考えた時にもいずれは
がっぷり四つで相対することになるのかなと思いを巡らせてしまいました。
 
>>人生の迷い人 藤井
 
 
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 コラム:少し役に立つこと
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<樹脂劣化と寿命算定 -精密な強さ分布が解決する世界 その4->
 
樹脂の寿命とはそのものが用に供せる特性を失うときを寿命といい、
その期間を寿命時間といいます。寿命が来て廃棄する場合に
自然界にポイ捨てすることが問題になっています。
樹脂の特性として寿命(用に役立たなくなる)が来ても形が無くなるまで、
自然界に帰るまではものすごく長い時間がかかり、
長い期間環境に負荷を与え続ける問題があるためです。
寿命が来たからと言ってぽいと捨てられないことも樹脂の特性です。
 
さて、インフラや機械に使われる樹脂は寿命時間を延ばすことが
求められます。逆に言えば、樹脂は環境により変化する材料で
何も対策しないと寿命時間が短い材料とも言えます。
寿命を短くする要因は太陽光などの光(特に紫外線等)、温度、
湿度、環境ガス、化学物質、油など多く有ります。
そのような環境によって機能の低下や強度の低下、
そして耐摩性の低下の度が発生し、その低下度合いは次第に
加速的な変化をたどってゆきます。
 
身の回りでの解かり易い変化の様相は色が変わってゆく、
色が退色してゆくなどの経験をお持ちと思います。
実はこの時点ですでに大きく機能や強度が低下していることが
解かっています。
樹脂は製造された時点から強度の低下が徐々に進み、
目視でわかるほどに色が変わるころには大きな強度低下に
進行していることが多いです。
ここが樹脂劣化を評価するときの難題になります。
研究室レベルでの評価は電子線分析やX線分析及び赤外線分析で
材質の変化が分析レベルでわかります。
また、表面を少しずつ削りながら深さ方法の評価を可能にすることも
できます。しかし、強度の変化はわかりません。
 
ここで、MSE試験の出番です。
樹脂は表面からの劣化進行タイプが多く表面が強く劣化変化し
内部に進むほど弱くなり、時には内部が新品同様なこともあります。
このような強さのグラデーション変化をMSE試験は得意としています。
MSE試験の結果から、光(特に紫外線等)、温度、湿度、環境ガス、
化学物質、油などの変化要因にかかわらず結果として強度低下発生の
様相を正確に読み取れます。
例えば、実使用又は加速環境試験の経過時間とMSE強さ分布の
関係を取得すると強さの時間的変化傾向が正確に解かります。
加えてJISダンベルによる引張試験や曲げ試験の強さ変化または
摩耗進行などを加えることで材料の強度低下傾向がマクロから
ミクロまで探索可能になります。
 
この傾向曲線から寿命を決定できるようになります。
部品に求められる機能や強度に関して上記のデータから、
シミュレーションも可能になり、寿命算定の可能性が高まります。
このようなデータの裏付けとして同時に材質や構造変化のデータを
取得したら寿命要因の分析に役立ち、長寿命の材料開発にも
可能性が広がります。
材料開発や原因分析に高精度で高効率な技術として
MSE試験が役に立ったら本望です。
 
樹脂劣化の事例
〇PBT樹脂の劣化変化と強さ変化の評価1
  https://palmeso.co.jp/mse/1502/
〇PBT樹脂の劣化変化と強さ変化の評価2
  https://palmeso.co.jp/mse/1505/
〇ABS樹脂のめっき前樹脂表面改質層の強さ変化調査
  https://palmeso.co.jp/mse/1508/
 
>>とりあえず親方 松原亨