材料は様々な外的要因、温度・湿度・光・紫外線などの環境、塩素・ナトリウム・カリウム・水素・酸素など科学的環境暴露、微粒子・砂・摩擦摩耗・繰返し応力などの物理的環境暴露などにより経年劣化が生じます。特に有機系材料であるプラスチックやゴム・エラストマは進行が速いとも言われています。
これらの劣化特定のために様々な環境劣化試験法は開発され製造されてそれぞれの試験や品質管理に役立てられています。劣化は多くが表面または表面近傍から進行していることが知られており、耐劣化技術の進化に伴って表層部の精密な劣化特定は重要とニーズが高まっております。このようなニーズに対する劣化促進試験はすでにありますが、精密に機械特性として表面部の劣化を特定できず良い方法が求められています。
表面部の劣化は劣化度合いを数値化するのはもちろん表面から内部方向に劣化度の分布が特定できる機能が必要とされています。精密な劣化促進法と精密な劣化度合い判定法が組み合わされることで最新技術や寿命制御のもの作りに貢献できることになります。
材料表面から深さ方向にナノレベルで強さ分布をみることのできるMSE試験法は、劣化度合いを機械特性として数値化する試験法へと応用できます。この試験は劣化度の高速スクリーニングや劣化部位の特定、特に探索しにくい表層下の劣化特定に役立ちます。特定された部位をSEMやXRDなどで分析照合するとより精密な原因やメカニズムを評価することができます。