一般的に膜厚測定というと光学系、音波系、電磁波系などの非破壊方式がありますが、これらのメカニズムは元素や内部応力などの変化点を見るものであり膜厚内の強さを示してはいないという問題が指摘されています。
軽薄短小時代の膜厚はその薄さゆえにバルクの強さと同じとは言えず、単純に膜厚を測るのみでなく強さも確認することが必須項目になっています。また多層膜や複合膜や傾斜膜になるとこれまでの膜厚測定では測れない問題も指摘されており、このような特定にはFIBとSEMやTEMを使って多大な努力を伴った評価法が採用されていますが、これらも強さは見ることができません。
このような従来法では特定しにくい又は強さレベルの膜厚を評価したいというニーズに対応する方法にMSE試験があります。MSE試験の基本は強さ尺度で表面から深さ方向に分布をみる特徴を持っていて、膜厚を見る場合は膜質と基材それぞれの強さ、多層膜の場合は一層目と二層目の膜質のそれぞれの強さの深さ方向変化点から膜厚特定をすることになります。
たとえば同じ材質であっても被膜プロセス条件などの違いで膜強さが変化していることが判り、同時に変化点の膜厚やトータル膜厚もわかります。基材表面の変質度や界面としての強さの概略調査へも可能性があり、PVDやCVDのように高エネルギー被膜法においては界面の強さ特定も必要な評価になります。不得意な分野として挙げられるのは表面粗さが荒いもの、超多層膜、厚膜などがありMSE試験法のメカニズムに起因するものとなります。