Vol.023 暑さ寒さとMSEマップ/金属はなぜ塑性があるのだろう

本号の話題

◆思いつくままに:暑さ寒さとMSEマップ
◆少し役に立つこと:金属はなぜ塑性があるのだろう

思いつくままに:暑さ寒さとMSEマップ

このところ涼しくなり長岡ではもみじも赤く染まりつつありますが、今年の夏は猛暑でしたね。
パルメソ所在地の新潟県長岡市も気温35度超え日多し、暑かったです。
単純な気温の高さ以上に湿気のせいでムシムシ不快指数上昇でした。
ただ、冬場は湿気も悪くないかも。

私、実家が関東で正月に帰省すると、こっち(関東)の方が向こう(新潟)より寒いなと感じます。
気温は新潟の方が低いのに何故?
新潟は冬でも湿度が高いしっとり寒さというやつで、関東の乾燥した冬よりも寒く感じにくい様です。
乾燥していると汗の蒸発が盛んになり気化熱で体温が下がる
=より寒く感じるという仕組み(他にも理由は色々ある様ですが……)。
体感の暑さ寒さは気温と湿度の2つのパラメタを考慮しないと推し測れないものなのですね。納得。

2つのパラメタによる評価で納得できるのは、
パルメソ受託試験のサンプル評価に使われるMSEマップも同じです。
MSEマップは、1つのサンプルに対し、
①多角粒子をぶつけた時の削れにくさと
②球粒子をぶつけた時の削れにくさを計測して、
その2つでサンプルを評価する方法です。
多角粒子だけ、球粒子だけの評価では納得できない結果も、
MSEマップ上で比較するとサンプルの良し悪しの傾向が納得できる形で見えてくることが多いです。

納得いかないサンプル評価に不快指数上昇中の方は、
一度パルメソのMSEマップ評価を試されてみてはいかがでしょう。

・MSEマップとは
 https://palmeso.co.jp/mse/mse-map/

>>人生の迷い人 藤井

少し役に立つこと:金属はなぜ塑性があるのだろう

アルミや銅そして鉄などの金属は荷重をかけると初期に弾性変形が起こりその後臨界値を超えると
塑性変形がおこり最後には破断してしまいます。
セラミックスは塑性変形がほぼなく臨界値を超えると
すぐに破断してしまう性質で金属とは大いに違いがあります。
この違いからセラミックスは強いが脆く使いづらい、
金属はほどほど強く塑性変形があり安心して使える(感覚的に)
との評価があり加工しやすさなどや多機能さもあって大いに使われています。
セラミックスは石と同じで歴史の変遷は石の時代(石器時代)から金属の時代に変わり現在があり、
しかし再び石(セラミックス)の時代が来るとも言われています。

話を戻して、塑性変形のもとは原子の結合まで小さな世界の出来事に入ります。
金属は原子と原子が規則正しく整列する癖があり
目で見える世界では結晶となり原子の世界では格子(原子の配列)と呼ばれています。

金属の原子配列は荷重をかけると変形が可能で一定の値まで比例的に変形しこれを弾性変形と呼び、
荷重を除くと元に戻るバネみたいな様相です。
それを超えると耐えきれず格子がスリップ移動し専門的には転移が生じたといい、
荷重を除いても元に戻らず永久変形になります。
さらに荷重を加えつづけると原子間の結合が耐え切れず破断に至ります。
セラミックスは原子間結合が特殊で転移を起こす余裕がなく一気に破断になります。

なお、金属の中にいろいろな元素を入れた合金材料にして
熱処理など行い高強度を狙った金属は塑性変形部が少なくなりセラミックスの性質に似てきます。
金属からセラミックスは本当のところつながっているかもしれませんね。

塑性の理由はわかりましたが強さを測る場面では塑性の特性が難しい課題が発生します。
例えば引張試験ではセラミックスは弾性限度と破断強度が
同じ(厳密には異なるが)で破断試験のみでも性格がつかめますが、
金属は弾性限度までは同じですが超えたらいとも簡単に
ずるずる伸び(塑性変形)最後に破断する過程があるため
弾性限度を特定するには荷重と伸びを同時に測る(応力ひずみ曲線:通称S-S曲線)必要があります。

加えて厄介な、しかし有効な現象として、
金属は塑性変形を起こすと弾性限度や硬さが増してしまう特性があり
輪をかけて強さを特定する方法に課題を与えます。
また耐久性(寿命)観点で見ると、塑性変形が生じても強度がそれなりにあり
「変形しても使える」ように実際の現場ではかなり有効な特性になります。
耐久性は材料が使えなくなるまでのエネルギー量とも言え
S-S曲線の面積の大きさとも言え金属は塑性変形がある分優位となります。
しかし、このような耐久性は加えられる荷重の大きさや形態(連続・断続など)で大きく変わってきます。
やはり金属の強度を正確に示すにはむずかしですね。
自然界ではセラミックスが素直な材料で金属はやんちゃな材料とも見えてしまいます。

金属をMSE試験で測ることはできますが
その数値が何を示しているかが難しいところでまだ解明されていません。
しかし強いものは確かに強い数値になります。
まずは同じ材料系での比較強さや分布ではかなり有効で感度が高いです。
またエネルギーの尺度になる耐久性は少し優位かもしれません。
そもそもMSEは粒子の繰り返し投射で単位は基本的にエネルギーですから。

・MSE試験の技術
 https://palmeso.co.jp/mse/about-2/

>>とりあえず親方 松原亨 でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。