Vol.022 ダッチオーブンの話/鉄は焼き入れすると硬くなる、しかし弾性率は変わらない

本号の話題

◆思いつくままに:ダッチオーブンの話
◆少し役に立つこと:鉄は焼き入れすると硬くなる、しかし弾性率は変わらない
  

思いつくままに:ダッチオーブンの話

先日友人宅に食事に行ったら、豚汁を作ってくれた鍋がダッチオーブンでした。
ダッチオーブンになみなみと作られた豚汁がテーブル真ん中にドーン。
室内にいながらちょっとキャンプ気分のパーティーでした。

ダッチオーブンは黒くて武骨な鉄製アウトドア用鍋だとばかり。
友人宅のものはステンレスのシャープなデザインでIH対応だそうで、
こんなオシャレなダッチオーブンがあると初めてわかって、びっくり。

私もダッチオーブンにはずっとあこがれがあって、
ただ重さだったり手入れの大変さや出番の少なさを考えるとなかなか買うには至らなかったのですが、
「自宅で使える」ことを目の当たりにするとダッチオーブン欲しい熱が再燃するのでした。
ただ、ステンレスもオシャレだけど黒光りの鉄製にこだわりたい。

今こうして材料開発をサポートする仕事に就いているため、あとは重さと手入れの大変さがクリアできて、
でも鉄の武骨さはそのままのダッチオーブンがでてこないかなあなんて都合よく考えてみたり。

パルメソのある新潟県内では燕三条地域の金物が有名ですばらしい鍋を職人さんが様々に作っておられたり、
アウトドアブランドのスノーピーク本社がある土地でもあるので期待しつつ気長に鍋選びを始めたいと思います。

それでは、次の鉄のお話へバトンタッチします。

>>総務のバーバラ

鉄は焼き入れすると硬くなる、しかし弾性率は変わらない

一般的な鉄(Fe)系材料は1%以下の炭素(C)が含まれていて
ビルなどに使われている低炭素系の構造材料と工具や刃物などの使われている高炭素系の合金材料があります。

高炭素系材料は熱処理すると機械的特性が大きく変わります。
例えば硬くなったり、引張強度が向上したり、伸びが少なくなったり。
ですが変わらない数値があり、それはヤング率(加えた荷重に対する伸び又は縮みにくさ)です。

熱処理によって鉄と炭素が化合して析出し材料内に分散分布しています。
化合物は顕微鏡で見るほどに小さいがそれ自体はセラミックスのように硬くて強い特性を持っています。
このような材料を引張や曲げや圧縮で荷重をかけるとヤング率に応じた伸びや縮みが発生し、
荷重を増して限度を超えると破壊につながるが分散した化合物が破断を押さえてさらに
伸びるとことを助けます。
このようなことを高強度化と呼び、化合物の多さで限度が決まる関係にあります。

硬さは局所(狭い面積)に荷重を加えて変形させ永久変形が発生する限度を示す指標です。
一般的に硬くなると変形しにくいとイメージされるが鉄系の場合は
弾性変形(荷重を抜くと元に戻る)が起こりその後に変形する過程は変わりません。
しかし硬さは材料表面部によく使われる指標で硬いほど摩耗しにくいなどの関係があり役立っています。

面白いことにヤング率は熱処理しても変わりません。
ちなみに鉄のヤング率はおよそ205GPaでアルミよりも高く(変形しづらい)セラミックスよりも低い材料です。

熱処理した合金材料を材質別に分けて、純鉄材料と鉄の化合物材料の混合物で構成された複合材料とすると、
鉄が99%以上で化合物が1%未満になります。
引張強度や硬さは化合物に大きく影響されるがヤング率は主なる鉄に相関する指標で
まして99%以上あることからヤング率が変わらないとすると整合できます。

先人たちが鉄に関して多くの知見を残したおかげで
現在も鉄が目的に応じて制御して使われていることになり、大変ありがたい材料です。
さらなる鉄としての性能アップも着々進行し、
さびない鉄や自動車などを軽くする鉄、そして切れ味の鋭い刃物などが生まれています。

鉄の機械的特性の引張と硬さとヤング率に加えて脆さなどの測定項目のいくつかはMSE試験で測れます。
従来の試験(JIS等の規格)と同じではありませんが同じような傾向を測り、
その特性を表面から内部まで精密に連続した分布として示せます。
例えば表面処理や熱処理などの正確な計測には役立ちます。

困ったときにはご賞味ください。
https://palmeso.co.jp/mse/contacttest/
>>とりあえず親方 松原亨 でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。